「愛国者」「愛国心」:A. ビアス『悪魔の辞典』

愛国者[名詞] 全体の利益より部分の利益が優先すると考える人。政治家のカモ、征服者の手先。

愛国心[名詞] 自分の名前に光を当てようとする野心家が使うランプの燃料にうってつけの可燃ゴミ

PATRIOT, n. One to whom the interests of a part seem superior to those of the whole. The dupe of statesmen and the tool of conquerors.

PATRIOTISM, n. Combustible rubbish ready to the torch of any one ambitious to illuminate his name.

The Devil's Dictionary

The Devil's Dictionary

非国民手帖

非国民手帖

ウィトゲンシュタイン「対象は無色なのである。」

2.0231 世界の実体が規定しうるのは、ただ形式のみであり、実質的な世界のあり方ではない。なぜなら、世界のあり方は命題によってはじめて描写されるのであり、すなわち、諸対象の配列によってはじめて構成されるからである。

2.0232 ひとことで言うならば、対象は無色なのである。

2.0231 Die Substanz der Welt kann nur eine Form und keinemateriellen Eigenschaften bestimmen. Denn diese werden erst durch die Sätze dargestellt-erst durch die Konfiguration der Gegenstände gebildet.

2.0232 Beiläufig gesprochen: Die Gegenstände sind farblos.

論理哲学論考 (岩波文庫)

論理哲学論考 (岩波文庫)

ナチスの時代と日本の現在の類似点

なぜ、ドイツでかつてナチスがあれほどまでに支持されたのか?


この十人の男たち[=ナチス一般党員]は、いわば「弱者(リトル・マン)」であった。[……]

「国民社会主義党」を論ずる外国人は大事な点を見落としているといったのは、息子のシュヴェンケだった。国民社会主義ドイツ労働者党だったこの党は「ぼくみたいな弱者の党だった。もう一つの弱者の党は、共産党しかなかった」と。


「[……]ニーメラー牧師は、(御自分についてはあまりにも謙虚に)何千何万という私たちのような人間を代弁して、こう語られました。ナチ党が共産主義を攻撃したとき、私は自分が多少不安だったが、共産主義者でなかったから何もしなかった。ついでナチ党は社会主義者を攻撃した。私は前よりも不安だったが、社会主義者ではなかったから何もしなかった。ついで学校が、新聞が、ユダヤ人等々が攻撃された。私はずっと不安だったが、まだ何もしなかった。ナチ党はついに教会を攻撃した。私は牧師だったから行動した――しかし、それは遅すぎた、と」
彼らは自由だと思っていた―元ナチ党員十人の思想と行動

彼らは自由だと思っていた―元ナチ党員十人の思想と行動

レイシストとは

レイシストとは


レイシズムとは、現実のあるいは架空の差異に、一般的・限定的な価値付けを行うことであり、提唱者の利益のために、被害者の犠牲のもとで、攻撃や特権を正当化するために行われる。

Le racisme est la valorisation, généralisée et définitive, de différences réelles ou imaginaires, au profit de l'accusateur et au détriment de sa victime, afin de légitimer une agression ou des privilèges.

Albert Memmi, Le Racisme: description, définition, traitement (Paris: Gallimard, 1982)
人種差別 (りぶらりあ選書)

人種差別 (りぶらりあ選書)

娘に語る人種差別

娘に語る人種差別

ネットと愛国 在特会の「闇」を追いかけて (g2book)

ネットと愛国 在特会の「闇」を追いかけて (g2book)

ジュディス・バトラーのアドルノ賞受賞に、ユダヤ人学者ら混乱(The New York Observer)

ジュディス・バトラーアドルノ賞受賞をめぐる混乱に関する Observer.com(The New York Observer のウェブ版)の記事を翻訳してみました。

私は、バトラーが『ジェンダー・トラブル』Gender Trouble(1990年)で行った、「男/女」「セックス/ジェダー」の境界線について突き付けた強烈な異議申し立てと攪乱行為にたいへん触発されました。そんな私からみれば、彼女のイスラエル批判は、「ユダヤ/反ユダヤ」「ユダヤイスラエル」の境界線に同じように攪乱行為を企てているように見えます。

* * *

ジュディス・バトラーアドルノ賞受賞に、ユダヤ人学者ら混乱(The New York Observer)
Judith Butler’s Adorno Prize Win Upsets Jewish Scholars

ダニエル・ダダリオ(Daniel D'Addario) 8/29 3:40pm

アメリカ人研究者ジュディス・バトラー(Judith Butler)が、哲学賞のひとつであるテオドール・アドルノ賞を受賞した。このことが、ナチス・ドイツから亡命したアドルノの名前をバトラー氏と結びつけるのを良しとしないユダヤ人たちの混乱を招いている。世界からいくつかのニュース記事を集めた Per Ahram Online によれば、あるドイツの学者集団が「イスラエルをボイコットした人物は、アドルの賞を受賞してはならない」と発言したという。

バトラー氏は、イスラエル、および、ユダヤ性とシオニズムの同一性を批判する発言を行ったことがあり、2003年の London Review of Books への寄稿では、報復をうけることなくユダヤ人がイスラエルに異議を唱えることができるようにすべきであると提唱した。「私は、イスラエルに対する批判を明言しようというユダヤ人と非ユダヤ人双方が異議申し立てできる場を求めている。しかし同時に、ユダヤ性をイスラエル利権に還元する反セム主義的にも反対している」と述べた。

欧州大学院が投稿したこのビデオでバトラー氏は、「イスラエルによる占領に反対するパレスチナ共同体と連帯した」ボイコット運動について論じている。

バトラー氏が提唱するイスラエル問題を切り取る新しい枠組みは、彼女自身ユダヤ人でヘブライ学校の出身であるにもかかわらず、ユダヤ人学者のコミュニティーで明らかな不評を買った。

バトラー氏は、カリフォルニア大学バークレー校教授で、前学期はコロンビア大学客員教授を務めた。

元記事:Judith Butler’s Adorno Prize Win Upsets Jewish Scholars | Observer

ジェンダー・トラブル―フェミニズムとアイデンティティの攪乱

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ジュディス・バトラー (シリーズ現代思想ガイドブック)

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権力の心的な生―主体化=服従化に関する諸理論 (暴力論叢書)

権力の心的な生―主体化=服従化に関する諸理論 (暴力論叢書)

Power Concedes Nothing Without a Demand.(権力は、要求しなければ何も譲歩しない。)

Power concedes nothing without a demand.
(権力は、要求しなければ何ひとつ譲歩しない。)

日本では義務教育課程の社会科の授業で三権分立について学ぶ。しかし、多くの人が三権分立を理解していない。行政機構が市民に奉仕する存在だと思い込んでいる。立法府が国民の代表者であるから、三権分立という布置連関に照らして考えれば、行政機構は原理的に言って国民に敵対する存在であることは明らかなはずなのに。

行政機構は、組織の自己保存・拡大のために課税し、支配する。